遅すぎた初恋
弟達が実家に戻って三カ月が過ぎ、漸く落ち着いたのを見計らって、クリスマスパーティーも兼ねて一族に紹介する話しとなった。

私は、夏の突然の報告から一度も実家には顔を出していなかった。家の報告は全て榊から受けていた。

鈴白星羅の身元調査の結果も、極々普通の結果に終わった。

普通の会社員の娘に生まれ、父と母は幼い時に交通事故で他界し。その時から祖母に引き取られて育っている。貧しくとも、何処に出しても恥ずかしくないようにと、ある程度は厳しく躾けられて育って来たとある。

成績も優秀で担任は進学を勧めたそうだが、金銭面と祖母の体調を理由に断念し…。あとは、弟が語っていた通りになる。
「異性との付き合いは弟が初めて…ね…。」
「ただただ不幸な環境だったというシンデレラストーリーだな。」

社長室で何度も読み返した調査報告書を眺め、机におもむろに投げ置き、席を立って窓辺から都心の夜景を眼下に眺めた。

彼女に最初に出会った時の姿が鮮明に蘇る。
穏やかな波と光溢れる中の彼女を。ギリシャ神話のアフロディーテを思い出す。泡から生まれた女神か。
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