副社長は今日も庇護欲全開です
「広報部としても、鼻が高いよ。下村さんは、コツコツ仕事をしていたもんな。その努力が実ったってことだ」

「そんな……。課長たちを始め、皆さんのお力添えがあるからです」

照れくさい気持ちになりながら、はにかんだ笑顔をむける。すると、課長も穏やかな笑みを浮かべた。

「ぜひ、広報部のためにも頑張ってもらいたい。今回のことで、副社長と会うわけだから、しっかり内容を固めておくようにな。それじゃあ」

「は、はい……。ありがとうございました」

そうだった。コンペに通った社員は、直接社長や副社長と話ができるんだった……。

それも、このコンペの魅力の一つ。だけど、金曜日のことがあって、副社長と顔を合わせるなんて、どこか気まずい。

気まずいけれど、副社長はなんとも思っていないだろうし、私が意識しても仕方ない。

お礼だけはもう一度伝えて、あとは割り切ってしまおう。動揺した自分の気持ちを鎮めて、椅子へ座った。

「ちょっと陽菜、凄いじゃない。コンペに通ったの?」

課長との会話を聞いていたらしい真美香が、目をキラキラ輝かせて声をかけてきた。
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