副社長は今日も庇護欲全開です
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『下村さん、あなたとのことは許そう。直哉は、とても頑固な性格でね。これ以上反対をすれば、かえって会社に影響が出る』
真中社長は私にそう言って、竹田社長と出ていった。ランチを……ということだったけれど、部屋に残されたのは私たち四人だけ。
それでも、この部屋を予約している以上、なにもしないで帰るわけにはいかず、住川さんたちも一緒にランチをした。といっても、私は食欲が全然わかなかったけれど……。
「父たちは最初から、俺たちの気持ちを確かめるつもりだったんだな」
直哉さんは、ホテルを出ながらそう言った。まだ呆然としているのは、私と茉莉恵さんだけだ。
「そのようでしたね。ここで迷うようなら、反対をされていたんでしょう」
住川さんの言葉に、茉莉恵さんが即反応した。
「お父さんってば、本当に意地悪……」
「仕方ないよ。それだけ、副社長ときみの結婚は大きな意味があったんだ」
フォローするような住川さんを、茉莉恵さんはどこか甘えたような目で見ている。
「それでも私は……」
と彼女が言いかけたところで、笑みを浮かべた直哉さんが私の手を優しく握った。
「陽菜、俺たちは車に戻ろう。それじゃあ、また月曜日にな。”たかちゃん”」
茶目っ気交じりに言った直哉さんに、さすがの住川さんもどこか照れくさそう。はにかむ笑顔の茉莉恵さんに会釈をすると、私たちは駐車場へ歩いた。
「社長にお許しをいただけて、ホッとしました。でもきっと、百パーセントじゃないと思うんです。私、もっと頑張りますから」
そう言うと、直哉さんは優しい笑みを見せてくれた。
「十分、頑張っているよ。きみはきみのまま、俺の側にいてほしい」
「直哉さん……」
彼の優しさは、いつだって私を受け止めてくれること。その想いが嬉しくて、胸が熱くなってくる。