副社長は今日も庇護欲全開です
コンペの案が通り、新しいプロジェクトが進行しているみたいだけれど、さすがに私の手の届かない場所にまでいってしまった。

最初こそ、意見を求められたけれど、今はなにも聞かれることはない。

だから、会社でも直哉さんと接することが少なくなっていた。

「お疲れ様、陽菜。ねえ、本当にコンパ行かない？」

金曜日、十九時になり帰り支度を始める。すると、真美香がそう声をかけてきた。

「行かない。ごめんね」

小さく笑みを見せると、真美香は仕方なさそうに頷いて、早々にオフィスを出ていく。

彼女の後ろ姿を見送りつつ、ため息が漏れそうになった。

直哉さんとは、電話もラインもできていない。仕事がいつ頃終わるのか分からないから、私から連絡することは控えている。

そのうえ、彼からも連絡がないのだから、ますます気分は落ち込み気味だった。

週末は予定があると言っていたのだから、今夜も明日もあさっても、きっと忙しいんだろう。

いったい今度はいつ、会えるのかな……。連絡も、どのタイミングで取ったらいいんだろう。

そんなことばかり考えていると、自分が恋愛下手だと痛感させられる。

今週末は、なにをして過ごそうかな……。
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