泣き跡に一輪の花Ⅱ~Victim or Notice~。

「……空我、たぶんあいつは、お前が好きだったんだよ」

「……俺だってアイツが好きだったよ。それなのに、なんでっ！！」

「それなんだよ、空我。たぶんあいつは、自分のことを一番に考えてくれるお前が、大好きだったんだ。だからお前に、必死で恩返しをしようとしたんだよ。死にたがりで、自虐趣味で、親戚にも嫌われている自分を肯定してくれたお前に、恩返しをしたいって思ったんだよ」


「……っ、馬鹿なな」

俺は思わず泣き崩れた。


奈々は馬鹿だ。おおばかだ。



なんであいつが死ななきゃいけなかった。



どうしてあいつは俺を救うことなんかに、命をかけたんだよ。




もっともっと、俺はあいつと生きたかった。


それなのに。


「ななっ、奈々絵ーっ！！！」



俺は潤の服に顔を押し付けて、
泣き叫んだ。