泣き跡に一輪の花Ⅱ~Victim or Notice~。
「ハー」
潤とわかれて家に帰ると、俺はすぐに自分の部屋のベランダに行って煙草を吸った。
煙草を吸ったのは、自殺未遂をしたあの日以来
のことだった。
「はぁ……」
口から出るのはため息ばかりで、頭に浮かぶのは奈々絵が死んだ姿だけだ。
「……俺、どうしよう」
今死んだら、奈々絵に会えるんだろうか。
「ハッ」
……死んだら許さないって言われたくせに、何考えてんだか。
死んじゃダメだろ。
「……生きる理由もないけどな」
俺は奈々絵に死ぬなって言われたから、生きようとしているだけだ。精神科とかの医者を物凄いやりたいわけでもなければ、他に趣味もない。
奈々絵にそう言われたことの他に、生きる理由がない。
純恋は大事だけど、あいつのために生きようとは思えない。
それに今は、奈々絵が死んだこととか、俺に誕生日プレゼントをくれた母親のこととか、純恋のことよりも考えたいことがありすぎる。