くまさんとうさぎさんの秘密

バックヤード

by前嶋 篤
こんな簡単なことだったのかと、その時は調子に乗った。ひとみは、従順に見えた。だけど、やっぱり簡単じゃなかった。忘れてくれと言われて、焦った。逃げられてたまるか。?何度も何度も口を塞ぐように唇を奪い、焦らしてひとみから言わせた。ちょっと簡単すぎて、俺だけなのかという疑問がふと沸いた。遊び歩いてるようにも見えないけど、義明の周りには、男が多い。あいつ、相手の年齢関係なく付き合うし、年上に好かれるところがある。
でもって、別の問題が出てきてしまった。
もう、変な薬でも飲んだんじゃないかってくらい。
ドームの中のひとみが、羽を震わせる。何故か、これを見ると、そういう気分にスイッチが入る。ひとみが横を通りすぎたとき、彼女の香りがする。スイッチが入る。どう収めんだよ。仕事が手につかない。若い体が恨めしい。
若さが悔しい。そりゃ、俺が義明の新しいパパに収まれるキャラクターじゃないのは理解できる。俺のキャラで、「俺だけか」なんて聞いちゃったりしたら、子どもの友達に格下げになりかねない。
すれ違うたびに、ひとみの体を触った。彼女の顔が、少し非難めいて上気する。反応して体を擦り寄せて来ることがあって、これがやめれなくなってしまった。
支配欲満たされると、ちょっと自分の方も抑えがきく気がした。

ひとみの頭空っぽにするには、義明と、義明の周りの連中を何とかしなければならない。その辺のタガが外れれば、ひとみは俺の手の中に落ちてくるかも。逆にそこで失敗したら、背徳感いっぱい、かたくなになられたら手もつけられない。
俺の方は、母性も含めてひとみが好きだ。惚れ込んでる。それで覚めるどころか、余計に焦れたり妬いたり入れ込んでしまう。でも、このキャラで俺の子ども生んでほしいとか、結婚してほしいとか、逃げれられかねない。。むこうは、そういう男じゃなさそうだから相手にした可能性さえある。
何かこう、俺のキャラなりに、ひとみの隣が俺の場所になれるように、ひとみが気後れしないような距離をうまく作る必要がある。
義明が、虫籠の中のひとみを俺にわたしたとき、えらくあれが扇情的に見えた。こういうの、義明の美意識みたいなもんと、絶対に関係してる。義明は、母親の色気も含めて母親を大切にしている。
義明自身が、甘やかされて育って、ちょっと強欲なところがある。俺は、強欲なヤツが好きけど、義明の場合、ちょっと甘いところもある。しかも、なんかしてあげたくなるような、そこがまた、義明の魅力の1つだ。。
あいつ自身が、思春期で、俺が高校生の頃より経験積んでそうで怖い。
それに、あいつは、見ていないふりして見てる。余計なこと言わないだけだ。



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