君がいて、僕がいる。



「…いつもやってる?」

「あぁ、毎年やってるよ。
まぁ去年まではここのツレとだったけど」

「…アユさんも来られたらよかったのにね。
こんなに楽しいのに、残念だね」


アユさん。そのワードにまた困らせちゃうかな…なんてちょっと思ったけど


「でも、真希がきてくれたから。
真希が楽しさわかってくれて俺本当に嬉しいよ」


圭介は笑顔で、すぐにそう返してくれた。
その言葉に、私自身も本当に嬉しくて、ずっと笑顔が絶えなかった。


「よーし、そろそろタレ付けるか!」

「それは誰の味付けなの?」

「もちろん俺!ガキの頃研究して、これが一番うまいから!
まじでこれ食ったら他の食べられないから」


自信満々にそう言ってる間も本当に楽しそうで、こんな表情は普段はなかなか見ることできないから、私まで嬉しくなる。

みんなは知らない圭介を見ているようで
こんな私にもそんな一面を見せてくれて…


そんな圭介の自慢のタレがとうもろこしに塗られると、それはそれはいい香りがこの辺一帯に漂う。


「ん~…本当いい香り…」

「だろー?俺のが天下一品だから!」


炭に落ちたときのジュワーっという音と、そのあとくるこの香ばしさ…

さっきカレーを食べたばかりなのに、食欲をそそる。


「ここにいるとおいしいものばっかりで太りそうだね」

「いや、毎日ファミレスよりは絶対まし」

「確かに」


あはは、ともうなにもかもが楽しい私はずっと顔が綻んでるし、圭介も綻んでいる。
本当に楽しい時間、だったんだけど


「あー!やっぱりやってる!」


そんな私たちのもとに、一人の女の子が香りに誘われてやってきた。


「おう、ミサキじゃん」

「来てたなら声かけてよ」


・・・あ、あの…誰?



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