君がいて、僕がいる。
それから部屋に戻って、外の景色をボーッと見ていた。
……ケータイ、残量89%。
友達がいない私にははっきり言って不要なケータイが、そんな早く電池切れになるはずもなく、隣に置いてボーッとね。
そんなときも、とうもろこしのいい香りが私の食欲をそそる。……そそったところで、私の分はないんだけどさ…
自分から言ったんだから仕方ないけど…
その香りと共に、二人の楽しそうな声も聞こえる。
なにをしゃべっているのかはわからないけど、笑い声だったり、なにかをずっと話していたり。
とにかく楽しそうで
私一人、虚しくなる。
もし美咲さんに感じるこの嫌な感じが嫉妬なら、さっきそれを圭介にぶつけて悲しませたから、それをぶつけないようにしないと、と必死になる。
…これが嫉妬なのかすらよくわからないけど…
でも、二人の仲良さそうなとこをみて嫌な気分になって逃げてしまったくらいだから、きっと嫉妬なんだろうな……
はぁ…私、心狭いのかも……
所詮2番目という言葉で自分を守ってた私はどこへいった。
こんなことに惑わされてどうする。所詮2番目なんだから。
……2番目。でもそれはアユさんが1番だから使える逃げで…もし、美咲さんの方が上位なら、私は3番目だ。
…そんなの、考えたところでなにも変わらないのにね。
自分がどんどん嫌な女になってくよ。
「真希」
でも、そんなときいきなり後ろから名前を呼ばれて
「え、圭介?どうしたの?」
さっきまで楽しそうな声が聞こえていたのに、今はすでにここに圭介がいる。
美咲さんはどうしたんだ?
「どうしたって、とうもろこし焼けたから」
「……美咲さんは?」
「あいつは焼けたとうもろこし持って帰ったし。
それに俺、真希のために焼いたんだけど。」
「え?」
「……お腹いっぱいなら仕方ないけど、でも一口だけでもと思って」
……私のため…そう、だったの?
それであんなに張り切ってくれてたの?
「ん。一緒に食べよ」
そう差し出された焼きとうもろこしは本当に美味しそうで、私は素直に受け取って一口食べることにした。
「っ、おいしい!」
「はは、だろー?」
圭介の味付けされたとうもろこしは本当においしくて、優しい味だった。
「本当においしい。
ありがと。圭介も食べなよ」
「え、俺はいいよ?
真希に食べてもらいたくて焼いたんだし、食べられそうなら食べていいから。
いらなくなったら俺食べるし」
「えっ、でも…」
「いーの。俺がそうしたいんだから」
「……ありがと」
その気持ちが嬉しくて、私の胸がいっぱいになる。
もう気持ちだけで満たされているけど、その思いを無駄にしたくなくて、私はまた一口、とうもろこしをかじる。