君がいて、僕がいる。
その後、おがあちゃんが帰ってきたから圭介は後片付けに戻り、私は結局ひとりでとうもろこしを完食した。
お腹いっぱい発言はどうなったんだ、私。
……嘘だったんだけどさ。
そしておまつりに行くまであとⅠ時間。ってことで、今度は私がおばあちゃんの部屋へ呼ばれた。
「うん、ぴったりだねぇ」
部屋へ入るなり、身ぐるみ剥がされ、すぐに違う着させられた。
「……これは?」
「これは、圭介のお母さんの浴衣だよ」
「えっ?」
私に着せられたのは、浴衣だった。
白地に、淡い紫色の花柄。そして、紫色の帯。
とても大人っぽい、綺麗な浴衣だった。
「もう何年も前になるけど、でも向こうに引っ越すまでは毎年この浴衣を着ておまつりに行ってたから、きっと圭介も気づくよ。
真希ちゃんはべっぴんさんだから、絶対似合うって見た瞬間感じたんだよ」
そうこうしている間に、しっかり髪の毛まで結んでもらい、髪飾りまでつけられた。
「はい、出来た。
うん、やっぱり似合う。
きれいきれい」
「あの…ありがとう」
「いいんだよ。
圭介が誰かをこの家につれてくること初めてだったし、本当に今日私も楽しかったから、そのお礼。
真希ちゃんならいつでも大歓迎だから、またおいでね」
「……うん、ありがとう。
私もすっごく楽しかったから、本当に何回でも来たいよ。季節ごと、景色を楽しんで、違う野菜を収穫したいもん」
「はは、そうだね。いつでもおいで」
そんな話をしていると、向こうから私を呼ぶ圭介の声が聞こえてきて
「ほら、行っておいで」
手提げまでしっかり手渡され、「行ってきます」といって、この部屋を出た。