君がいて、僕がいる。
「ごめんね。お待た、せ…」
「あ、真希準備できた?
なんか美咲んち親が会場まで送ってってくれるんだって」
「へぇ…そうなんだ。
ありがとうございます」
圭介に呼ばれて向かった玄関では、圭介の横に美咲さんもいた。
白地に、金魚模様の可愛い浴衣を着た美咲さんは、本当に綺麗で…なんとも圭介の横が似合っていて
「んじゃ行こ!」
そう圭介に向けられる笑顔が、すごく嫌だ。
……っていうか、美咲さんも一緒?
向こうについたら別行動?なんなの?この状況…
「…真希?」
「えっ、あぁごめん」
いつまでも動かない私に、圭介が手を差し伸べる。
そこに置かれた下駄は、私が履いていいもの…なのかな…?
でも今日靴できちゃったから…ごめんなさい、借ります!!
「…その浴衣、ばあちゃんが?」
「あ、うん
……着ちゃって大丈夫かな…」
「ん、大丈夫しょ。
……そんだけ綺麗に着こなしてくれるなら、母さんも大歓迎だよ」
最後、こそっと言われたその一言に、私の顔が熱を帯びる。
こういう彼氏の一言で一喜一憂できる私も、本当人間らしいというか、なんというか…
恋ってすごい。
……でも、なぜか車の乗車位置は、私が前で圭介の隣は美咲さん、
ねえ、なんで?
美咲さんのお父さんと並んでも気まずいだけなんだけど…
なんで圭介も当たり前かのように美咲さんの横に座る?私がここで疑問はもたなかったの?
二人の会話も、私には全く理解できなくて中に入ることもできず、ただただ静かに到着を待つしかなかった。
会場までの20分は本当に退屈で、……苦痛で。
早くつけってそんなことしか考えられなかった。
__でも、会場についても状況は変わらなくて、やっぱり美咲さんも一緒みたいで…
私は二人の後ろを黙って歩くだけ。
おまつり会場は本当に賑わっていて、そこまで狭いわけではないのに、人だらけ。
出店もとっても多くて、私の地元に比べると本当に大きなお祭りだった。