君がいて、僕がいる。
出店が並ぶ中、私たちはまず神社へと向かう。
みんながそうだから。
でも、歩いてるだけでも
「おう、圭介。去年ぶりだな」
そんな声が、いろんな人からかかる。
美咲さんと二人でっていうのもいつも通りな光景らしく、みんな違和感なしだし、なんなら『おしどり夫婦』的な感じでいじられることすらある。
それも、適当にかわすだけ。
私が圭介のツレだということに誰も気づきはしないし、圭介も言わないし、なんなら後ろにいる私に振り返ることすらしない。
はっきり言って、私のことなんか忘れてるんじゃない?ってレベル。
『真希となら絶対楽しい』
そう言ったのはどこの誰ですかね。
……私がいなくても、全然楽しそうですけど。
ねぇ、アユさん。
あなたは来なくて正解だったかもしれない。
全然楽しくないよ。
…あ、でもアユさんだったらみんなに自慢して歩くのかな。
「よう、圭介」
そんなことを考えながら歩いていたら、また新しい声が圭介にかかる。
…だけど、さっきまでと違って止まったから、自動的に後ろにいる私も止まる。
前を見れば男の人が3人、圭介と美咲さんの前にたっていた。
「お前ら相変わらず仲良しだな~」
「もう付き合っちゃえばいいのに」
もう何度目かわからないそんな声がまたかかる。
私はここにいなくていいんじゃないか、ここにいて、なんの意味があるのか
そんな問いかけに、誰か答えてくれればいいのに。
周りを見ても、こんなにつまんなさそうのは私だけ。
みんなが誰かと話していて、みんなが楽しそう。みんなが輝いて見える。
本当に、行き交う人みんながしりあいなんじゃないか?ってくらいいろんな人がすれ違いながら言葉を交わしていく。
……私の場違い感ったらない。
「__真希!」
「えっ、ごめん何?」
そんなことを考えながら周りを見渡していたら、私は圭介に呼ばれていた。
……なんか、久しぶりに視線が絡まった気がする。
「ちょいちょい」
手招きされ、ちょっと近づけば手を掴まれ
「彼女の真希」
なぜか、目の前のこの3人に紹介される。
なに?これ。え、どういう状況?
ボーッとしてたから全然わかんないんだけど
「…はじめまして」
とりあえず、頭は下げといた。
……これは、彼女をお友だちにご紹介ってやつ、ですよね?先輩。
「うわ、めっちゃ可愛い~!」
・・・か、かわ、かわいい?
え、私のことですか?
「いいよなぁ、圭介は。
ここなんて生まれてからずっとこのメンツだからつまんねぇったらねぇわ」
「でも高校出たらどうせここから出てくんだろ?ならいいじゃん」
「なんかでももっと青春したかったよなー!」
「な!毎年変化ないだわ!」
そんな、普通の会話を圭介の隣で聞いてるんだけど…なんか、圭介がいつもより子供に見えて、変な感じ。
無邪気感ある。普段はもっとさっぱりしてる、のに……
この人たちといる圭介は、ちょっと子供だ。