君がいて、僕がいる。



そんな私に応えるかのように、圭介も優しく私を抱き締めてキスをする。
その優しい体温が心地よくて、すっかり酔いそうな気分になった、その時

「圭介~!美咲ちゃんだよー!」

圭介を呼ぶおばあちゃんの大きな声に、ビクッとした。

ここがおばあちゃんちだったことをすっかり忘れ、キスしていたから一気に現実に引き戻された。
……しかも、その原因が美咲さんで、私の心はまたえぐられていく。


「……ったく、なんだよ
今行くー!」


くっついていた体は自動的に離れ、圭介はそうやって返事をして「ちょっと待ってて」と言って立ち上がった。
……でも、『伝えなきゃ、伝わらない』とさっき北山さんに言われたばかり、だから


「……真希?」


私の手は立ち上がった圭介の服の裾を掴んでいた。


「…行か、ないで」


今までの私なら絶対言わなかった、このセリフ。
『所詮2番目』なんかの私なんかがこんなセリフを言うことなんて、今までできなかった。

…でも、まだまだアユさんと同率でも1番になれたから…


こんなセリフを言っても許されるかな…?


「真希…っ」


こんな私でも、素直になっていいですか…?
こんなことを言っても、許されますか…?


「……真希も、一緒に行こ。」


あんなことを言ったことがなかった私だけど、そんな私が言ったからこそ、圭介はとても驚いた顔をしていたけど、
すぐに私に優しい笑顔と向け、手を差し伸べた。


伝えなきゃ、伝わらない。
伝えるってすごく難しいこと
自分の心を表面に出すことから逃げ続けた私だけど

……実はとっても、簡単なことだったのかもしれない。


「…うんっ」


差し出された手を、私は素直に握った。



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