君がいて、僕がいる。



「…ただいま」


無駄に静かなこの家にそういっても、返事は全く来なくて、リビングには誰もいなかった。

お父さんもいない…?ならもしかして、将希ももう出掛けたのか?と2階へ上がって将希の部屋を開けてみた。


「おっそ。電話してから何時間たってると思ってんだよ」

「2時間くらい?」

「ふざけんな」

「圭介が将希を恨むってさ」

「・・・。」


あ、黙った。
やっぱり圭介のことは怖いのかな?……この超やんちゃしますって感じの将希が、あののほほーんといた圭介のことが怖いってのも変な話だけど。


「で、なんで家から出れないわけ?
もう下に誰もいなかったけど」

「俺ぜってぇ悪くねぇんだよ」

「だから、なんなのよ」


と、もうすっかり落ち着いていた弟の話を聞いてみれば、不良にカツアゲされている大人しそうな高校生と助けた、と。
そしてそのカツアゲしていた不良の高校生と喧嘩になりそうになったところを補導…って


「あんた中学生の癖になに高校生と張り合ってんの」

「いやそこかよ。
で、迎えに来たのが親父で、これなわけよ」

「まぁでも確かに今回は補導されるようなことしてないね。
それなのに外出禁止ってのもひどい話かもしれない」

「なんかもう説明するのもだるいし、言ったところでどうせ信じねぇし、あのくそ親父が満足すんなら別にいいやと思って、素直に家にいる」

「……あんたも大変だねぇ」

「はぁ?今ごろ気づいたのかよ
本当、俺大変なんだよ。

……早く、働いて家出たいわ」

「中学生が何いってんの。
あんたにはまだ輝かしい高校生活が待ってんでしょうが」

「輝かしいのかよ」



・・・それは微妙かもしれない。
けど、輝かしい高校生活を送っている人もなかにはいるから、きっと将希なら輝かしい高校生活を遅れるだろうな。

まぁバカだし見た目もこんなんだし、たまに問題も起こすことも事実だから、先生からはかなり嫌われそうではあるけど……


「てか腹へった。飯。」

「私食べてきたんだけど」

「だから、作れよ」

「……めんど」

「かわいい弟のために頑張ってくれよ、姉さん」

「どこらへんがかわいいんだよ、くそ」

「どうみてもかわいいだろ、くそ」

「ってかいつまで外出禁止なわけ?今日だけ?」

「しばらく家から出るなって言われたけど」


・・・まじかよ、おい。
ってことはしばらく私がこいつの面倒を見るのか?
まじで勘弁してほしいんだけど……


「お母さんは?」

「まだ入院中だけど」


………これはやはり、私がご飯を作れということでしょうかね…



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