君がいて、僕がいる。



圭介と過ごす15分なんてあっという間に過ぎ、いつの間にか私の家の前に着いていた。


「あー、真希とバイバイか…」

「……何で今日はそんな寂しそうなの」

「だって昨日からずっと一緒だったし」

「どうせ明日も会えるんだからいいでしょ」

「……そうなんだけどさ」


・・・って、こんなやりとりさっきもやったよ?
本当、お泊まりのあとってそんな寂しいもんですか?明日も会えるんだよ?
私はそうでもないですけどね。


「……まぁでも、将希が監禁状態ってことはたぶん父親もいるし、嫌になるわ…
私もこの家に入るの」


あのくそ親父もいるんだもんなぁ…将希だけならまだしも…
機嫌悪そうだし…


「真希」

「ん?なに?」

「親なんて、うるさく言ってくれるだけましだよ。
喧嘩できるうちが華。

めんどくさがらないでさ、喧嘩できる今のうちに言いたいこといって、喧嘩しておいた方がいろいろいいと思うよ?」

「喧嘩、ねぇ…」


まぁ…いつもならめんどくさくて流して部屋にいっちゃうけど…
でも喧嘩するってのもめんどくさいなぁ…


「思ってることぶつけたら、案外仲直りなんてすぐかもよ?
っていうか、もしかしたらお父さんもそれを望んでるのかもしれないし」

「そんな甘いもんではないと思うけどね」


私はそういって、家の中に入る決意を固めて、圭介からかばんを受け取った。


「送ってくれてありがと。
そろそろ家入るね」

「ん、将希によろしく」

「はは、恨むって言ってたと伝えるよ」

「あぁ、うん
あ、そうだ。明日なんだけど、俺ちょっと先生に用があって先いくから、迎えこれないんだ」

「あ、そうなんだ。
じゃあ明日は屋上でね」


私がそういうと圭介は本当に優しく微笑んで、最後の最後に私にキスをした。


「ちょっ、家の前っ…」

「……だってしたかったんだもん」


……だから、何でこの人はたまにこんなにかわいくなるんですかね。
したかったんだもんって…

私でもなかなか言えないセリフだぞ。


「…真希?」

「ん?」

「……やっぱなんでもない」


・・・?
なに?なにを言おうとした?


「おやすみ」

「えっ、あ…おやすみ」


そういうと、圭介が私の背中を押すから、私は大人しく家に入ることにした。
圭介の言葉の続きを聞くともできずに。


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