君がいて、僕がいる。



「…こっからは俺も最近、半年くらい前に知ったことなんだけどさ
神谷さん、俺の罪をかぶるためにそのおっさんから財布までパクってたんだよ。
その方が、警察からの事情聴取でボロがでないからって」

「……そんなことまで…」

「俺の鞄の中に入ってたはずのケータイも、いつの間にか神谷さんに奪われててさ
……神谷さん、それを持ってすぐそのおっさんのとこまで返しに行ってたんだよ。財布の中の免許証で住所見て…
一緒についていった先輩に言われた。
『俺のツレが怪我させてすみませんでしたって頭下げてた』って…
それ聞いて俺もう本当に神谷さんに申し訳なくて…」


なんだ、それ……
どんだけいい人なの…


「…しかもさ、そのおっさんの話には続きがあってさ」

「え…?」


続き、って……
なにそれ、怖いよ…


「神谷さんの妹、レイプで自殺してるだろ?」

「え。……うん」

「それさ、そのおっさんが犯人なんだよ」

「は!?」


待って、意味わかんない…
どうして?なんで?たまたま、なの…?


「それもきっと、たぶん俺のせいなんだろな…
俺がおっさんボコったけど、俺がどこの誰だかわかんねぇから、謝りに来た神谷さんの妹を狙ったとか…」

「……意味、わかんないよ
だって圭介なにもしてないじゃん」

「……俺が、ムチャしたから」


将希はそういって、下唇を噛み締めた。
悔しさと、後悔と……
いろんな思いが、その表情から溢れていた。


「…もとはといえば、私のせいじゃん」

「……真希は悪くねぇだろ。
むしろ、真希は被害者だ。

誰が悪いかっていったら、そのおっさんただ1人なのに…」


ねぇ、どうして?

どうして、圭介ばかりそんなことに遭うの?


……圭介、自分のせいで私の居場所奪ったって言ってたけど…違うじゃん。圭介の居場所を奪ってたのは

他の誰でもない、私じゃん…


そりゃ、別れたくもなるよな…



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