君がいて、僕がいる。



「…別れて、正解だったかもな…」


もう、そんな話聞いちゃったら、いったいどの面下げてこれから圭介に会えばいいのかわかんないもん…


「……そんなことねぇだろ
真希はなんにも悪くねぇし、それに神谷さんだってなんも悪くねぇんだから別れることなかったのに…

……あんなに、真希のこと好きそうだったのに、なんでだよ…」


そういう将希は私よりもずっとずっと、悔しそうにそういった。
私のことなのに、どこまで誰よりも悔しそうに…


「…そういえばさ、圭介
学校も辞めるみたいなんだよね

だから、もう本当に会うことなさそう」


「え?……なんで?」

「え、わかんないけど…先生には迷惑かけるから?とか言ってたみたいだけど」


それも、意味不明。
迷惑かけるからって、いったいなんだろう…?


「真希と別れたり、学校やめたり…神谷さん、いったいなにを考えてるんだろうな…」

「あ、そういえば昨日ネクタイもらったんだよね。制服の。
……それも、学校やめるからくれたってことかぁ…

家の中もやけに掃除されてて、教科書類も全部なかったし、処分したんだなぁ…」


ってことは、結構前からやめる決意を固めてたんだろな…


「……なんか、ちょっとおかしくねぇ?
俺が真希の弟だから別れるなんて理由がまず変だろ。全部知ってた神谷さんなら」

「……逆に、将希の姉だから嫌だったんじゃない?」

「じゃあなんで神谷さんとこ泊まりにいったりしたんだよ。俺の姉だから、なんて理由だったら、アユさんのこと忘れられてない神谷さんならそれを知った時点で別れてたっておかしくないだろ」

「……確かに」

「家を片付けて、真希と別れて、学校やめて…
それに、急に真希を神谷さんの地元に連れていったのだって変な話だろ。別れる気でいたなら、なおさら」

「……確かに」

「なんか…嫌な予感するのは俺だけ…?」


でも、本当に将希の話を聞いた限り、圭介が私に別れを切り出した本当の理由がわからなくなった。
だって圭介はなんにも悪いことしてないんだもん…

それこそ、私がいやになったからとしか…


……じゃあ、『嫌いになったなんて嘘でも言いたくなかった』といった圭介の言葉が嘘だったってこと…?

…ううん、それも違う。
たぶんきっと、私の知る限り、あれは嘘をついてる圭介ではなかった、はず…


でもじゃあどうして……



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