君がいて、僕がいる。



「で、そいつのケータイだけ持って神谷さんに呼び出されていつものところで座ってたらお巡りがきたってとこ」


……え、終わり…?これで終わりなの…?
で、でも将希が犯したのは暴行で、窃盗ではないよな…?


「な?意味不明だろ?」

「う、うん…」

[帰ってきてさ、親父になんでそんなことしたんだってキレられても、そもそもそんなことした覚えないから知らねぇよって感じだったし」


……そういやあの時、将希はちゃんとやってないって言ってたな…
知らねぇよ!とも言ってたし…

だけどお父さんは将希の言い分聞かなかった。だから…きっとここまで関係が悪くなったんだろな…


「……でも、その万引きのほうは圭介が将希に罪を押し付けたってことなんでしょ?」

「……真希は、神谷さんがどうしてそんなことをしたと思う?
あんなに優しくていい人の神谷さんが、本当に俺にそんなことをしたと本気で思うか?」


その言葉に、私の体は固まる。
思い返せば、私の知る圭介は変なとこ怖がりだけどいつだって優しくて…
怒ると怖いけど、でもそれもいつも私のことを想っていた結果であって…

そんな圭介が、将希に罪を押し付けるとかそんなこと、するわけないだろってよく考えればわかることだった。


どうして私、そんなことをさっき信じてしまったんだろうって…


……でも、将希がやってもいないことで補導されたのは事実。そしてそれを押し付けたのが圭介だということも事実。

……ってことは…


「……まさか、圭介が将希の代わりに…」

「しか、ねぇだろ」


圭介が、将希の暴行の罪をかぶった、ということ…

……なんなの、それ…
将希も、私のために犯罪なんか犯さないでよ…
圭介も、悪いのは将希なんだから将希をかばったりしないでよ…
本当に将希の更正を願うなら、将希が償うべきことだよ…


「結局、そのおっさんが被害届を出さなかったから神谷さんは捕まることもなかったんだけどな」

「え、どうして…」

「そりゃそのおっさんも、自分がストーキングして、痴漢して、盗撮もしてるから
そんなことがバレるくらいならって思ったんじゃねぇの?」


……そ、っかぁ…

だから結果的に、将希だけが…


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