君がいて、僕がいる。



「えっ…!?」


私の言葉に、優斗くんの声色も変わった。
だって、ナイフなんて…シャレにならないよ…


「ど、どうしよう…」

「落ち着けよ、真希」


誰かに刃物を向ける。
そんな光景を、私は生まれて初めて見た。

こんな光景を見て、落ち着いてなんかいられないよ…!


「圭介っ…!!」


もう、考えてる暇はなかった。
考える前に、私の体は勝手に動いていた。


「……真希…?」


圭介が私の名を呼ぶ。
その声は、本当にいつもと変わらなくて…


「圭介…お願い、やめて…?」


あんな怖い笑みさえ、もう消えていた。


「……なんでこんなとこ来てんだよ
さっさと帰れよ。真希には関係ねぇよ」


そんな、私を突き放す言葉。
初めて聞く、私を突き放す言葉。

…でも、そこにもやっぱり怖さは感じられなかった


「……神谷、そいつをどうするつもりだよ」


いつの間にか、飛び出した私の後ろには優斗くんもいた。
もちろん、将希も…


「…そんなの、木村にも関係ねぇよ
真希つれて帰れよ」

「関係なくても、そんな光景見て帰れるわけねぇだろ」


その言葉に、圭介が黙った。

こちらを見ずに、熊谷からナイフの先端も視線も外さなかった。


「……神谷は俺を殺すんだと」


そんな圭介を見かねてか、熊谷がバカにしたような声色でバカにしたような笑みを浮かべながら、私たちにそう言った。


「えっ…!?」

「その前に、どうしても俺の口から
俺があの女を何回も無理矢理ヤったって聞きたいんだとさ。

そんな事実、ねぇのに。
あの女が勝手に堕ちていっただけなのによ」


その、熊谷の言葉に


「…勝手なこと言ってんじゃねぇぞ」


圭介はそういって、熊谷のお腹に蹴りを入れる


「圭介!…お願い、やめて」



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