君がいて、僕がいる。
私の声が、圭介に届いているのかはわからない。
圭介はもうこちらを見ない。……そして、私の知ってる圭介でもなくなっていた。
「…神谷さん、そいつ殺ったあと
自分も逝くつもりですか?」
「えっ…!?」
将希の言葉に、私の声はまた響く。
「アユさんを、一人にしておけないですか?」
「……いや、一人でここに残るのが嫌なだけだよ」
圭介は、静かにそう語った。
「妹失って、親を失って、んでアユも…
……この世に、一人でいるのが嫌になっただけだよ。
だから、俺が逝く前にこいつも、と思ってな」
圭介はそう言って、熊谷の首にナイフを当てた。
「……これ以上、見ていられないだろ。
さっさと出ていけよ」
「神谷さん、そいつの口から、アユさんを無理矢理ヤったなんて言葉、聞けないですよ」
「……は?」
「だってそいつは、本当に最初の一回しか無理矢理やってないんですから」
将希のその言葉に、圭介の表情がまた固まった。