君がいて、僕がいる。



「……俺は、まだ真希が木村と2人でいたら嫉妬する。
真希が前好きだったやつの話してもきっと嫉妬する。
…真希はしねぇの?」

「えっ…?」

「俺のこと、あんま好きじゃない?」


そう私に問いかける圭介はいつもの圭介じゃなくて…全く覇気が感じられなかった。
こんなに自信無さそうな圭介を見たことがなくて私はまた戸惑ってしまった、けど


「……自分の彼女より、前の彼女を一番に考えてるような男に言えたことじゃないか」


こんなにも元気ない圭介が見たくなくて、私は圭介の手を握った。


「私ね、今まで2番目か、それ以下にしかなったことがなくて、一番に大切にされることがなくて
本気で好きになったらバカを見る。ずっとそう思ってきた。

だから、かな。
最近は常に、好きになってものめり込まないようにしてる自分がいる。
どこかで自分を制御してるのかもしれない。
2番目でもいいから、とかそんな考えなのかも。

どうせⅠ番になれないから、嫉妬しても意味ないの。それ覚悟で2番目になってるんだから。」


私の中の本音。
どこかで私は本気の”好き”から逃げてるんだよね…

それをぶつけてしまったら2番目にすらいられなくなる。
相手にされなくなる。
だから本気になっちゃいけないんだって


「ごめん、ちょっと当て付けみたいだけど
これも、私なりに見つけた自分を守るための術なの。

だからあんまり表面には出ないけど、でも気持ちが薄れてるとかそういうのじゃないから、
私はこういう生き物だから、徐々に慣れてくれればいいよ。」


私がそう明るく言うけど、圭介の顔はさっきと変わらず暗くて
私の顔すら見ることはなかった。


「……なんか、俺まじで最低だよな」


この一言が発せられまで、本当に長くて…


「なんで俺、真希を1番にできないんだろ」


それに加えて圭介は思い詰めたように手のひらで顔を隠した。

普通のカップルじゃありえない、この光景。


1番目にできないと言った彼氏と
1番目になる努力をすると言いながら2番目でいいと諦めてる彼女。


私たちはただただ『幸せになりたい』その一心なのに、幸せになるにはまだまだ道のりは長かった。


「……別に忘れなくていい。
私は2番目でいいんだから、圭介がそんなことで悩まないでよ」

「……そういうこと言われると本当に辛い
いっそ責められた方がまし」


少しでも元気な圭介が見たい。
そんなことは気にしないでって、そう願うのに

私はどうしてこんなにもこんなことしか言えないんだろう
どうしてこんなにも人を苦しめてしまうんだろう


ただ『幸せになりたい』だけなのに



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