君がいて、僕がいる。



昇降口で靴を履き替え、私の手はまだ圭介の手の中。
この人は迷うことなく、階段を4階まであがっていった。


「おぉ、意外といる」


そして、迷うことなく私のクラスにはいるこの人。
なんだろね、先輩だから?

他のクラスになんの躊躇もなく入れる人ってあんまりいないよね。ちょっと尊敬するよ


「真希の席どこー?」

「あっち」


私の席は窓際前から2番目。可もなく不可もなく、だけどどちらかなら不可な席。
なんせ暑いから。ま、風が通るだけありがいたいのかもだけど。


「んじゃ俺はここで」


自分のクラスにいくのか?と思えば

普通に、当たり前かのように、私の前に席に座り始めた。


「いやそこ違う人の席だから」

「そりゃ3年の俺の席はここにはないだろうね」

「いや早くクラスにいきなよ。優斗くん待ってるよ」

「あいつは生徒会室だから」


…まじか、大変だな。
じゃなくて!!あの、先輩?だいぶ注目浴びてますよ?大丈夫ですか?


「んーやっぱ4階は景色がいいなぁ」

「圭介が1年の時と同じだと思うけど」

「その頃は外なんか眺めてなかったし」

「彼女眺めるので必死か」

「いやさすがの俺でもそれはやばくない?」


笑いながら圭介がそういうけど、それを想像したら相当ヤバイやつだなと思った私も笑っちゃう。

結局な。


早くクラスに行け、なんて思いは即なかったことになり、普通にここで楽しく笑っちゃっている。
その間にもどんどんこのクラスにも人が集まってきていて、みんなが一度は圭介を二度見する。

まぁ、こんな茶髪ほかにいないもんな。

しかも3年が1年の教室で他愛もない話してる、なんてはっきり言って異常な光景。


それでも、私はこの時間が楽しくて圭介をクラスにいかせることはできなかった。
学校って楽しい場所だったんだよなって思い出される。


「ねぇ、真希」

「ん?」

「いつもそうやって笑ってなよ」

「え?」

「その方が毎日楽しいよ?」

「え、私普段笑ってなかった?」

「いや笑うんだけど本当少しだけ、
ずっと笑ってるって、あんまりないからさ」


……そう、かぁ
あんまり意識してなかったけど、私あんまり笑わない方なのか。
知らなかったな。



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