君のぬくもりを忘れたい
河野くんは最近元気がない。

関係ないとはわかっているのに心配している矛盾な私。

HRでメイドカフェをすると決まった日から、傍目ではいつもどうりに見えるけど、ぼーっとしているのが隣の席でわかる。

(いつも元気だったから…なんか変な感じ)

考えながら通学路を歩く。
少し前を言ったところに、背の高い影を見つけた。

…河野くんだ。

どうしよう、話しかける?
元気がない理由聞いていいかな?
え、でも、なんて聞けば…
「元気がないのはどうして?」
うーん
「私が鈍感って言ったから元気ないの?」
う、ん。これでいいかな?


–––––––––––––––––––––––––––?

ちょっとまって。
私、話しかけようとしてる?

小さい頃から、
話しかけようなんて思うことがなかった。

話しかけられたり、少しだけ声をかけたりするだけ…
いや、だけだった。

河野くんと出会うまでは ー

(だめだ 翼。しっかりしろ)
こんなにも優しく接しられたことがなかったから、一瞬の甘えが出ているだけ。

危険だ。河野くんは危険。

自分の欲望に甘えてしまえば
今までの積み上げてきたものが全て––––––––

崩れてしまう。

そして崩れてしまった時

私はもう一度深く傷つくことになる。



「おはよ そんなところでどうしたの?」

しまった、話しかけられてしまった。

「おはよう」これだけで終わらせようとしたけど––––––––––––––


この河野くんの笑顔が
作り笑顔だとわかった瞬間、私は口を動かしてしまった。


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