君のぬくもりを忘れたい

私の過去

心臓がうるさい。

顔が熱い。

後ずさりをする。

異性に髪の毛を触られる事なんてあるか?
いや、ない。
お父さんにですらないのに。

でも、嫌じゃなかった。
一瞬 時が止まったのかと思った。

河野くんが先へ進んで見えなくなっていく。


ねぇ 河野くん ––––––––––––


( 私たちはなんなんだろうね )

立ち止まったと同時にそんな考えが通る。

友達ではない。
そうじゃないはず。


だって、どちらも『友達になろう』とも
何も言っていない。

一緒に登校したり

髪の毛を無意識で触ったり

お互い顔を赤くしあったり

友達でもしないかもしれない。

最近は友達でもそういうことをするのだろうか。


(友達なんて作ってこなかったからな)


そうだ 私は


〝友情〟 や 〝愛情〟


そんな綺麗であたたかいものを
欲していなかった。


いや

望んでいなかったんだ ––––––––––











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