君のぬくもりを忘れたい

初めての会話

「顔色悪いで、大丈夫?」

校門の少し前で立ち止まっている壷林さん。

話すのは初めてで、緊張して近づく。

「大丈夫です。…?だれですか」
壷林さんは、俺を警戒するように
少し離れる。

あまりにもそっけない態度に、驚きつつも自己紹介をする。

「1–2の汐田 るい。転校して来て、遅れ入学してん!」

「あぁ。えっと私は壷林…「翼ちゃんやろ」

(あっ!しまった !)

前、日奈太に聞いて覚えてたから、かぶしてもーた。

「なんで知ってるの?」
さらに警戒したようすの壷林さん。

そんな壷林さんを見たら、からかいたくなった。

「かわええ子おるなぁと思って、日奈太に名前聞いた!」

「河野くんに…?」

〝可愛い子〟はスルーなのに、日奈太という名前には反応したな。

(ふーん)

「なぁ壷林さん。…日奈太と、どんな関係?」

「人に聞く前に、自分が…汐田君が言うの先なんじゃないの。」

冷静に言われた。

「そーやな!俺は…まぁ友達や」

「…へぇ 。 私は…私達には関係なんてない」

「?友達でもないんや?」

壷林さんの答えに喜ぶ自分を、抑える。

「友達 ?わからない。
でも…もう関わらないようにしたほうがいいんだと思う。河野君には ––––––––––」

「なんで?」

どこか悲しそうな壷林さん。

「あの人 変な人だから。 」

雲の隙間から太陽が出た。

眩しかった。

でも、俺より眩しそうに、壷林さんは顔に手をかざした。

日光を遮るように。

「私 、汐田君とも友達にならないから」

そう言い捨て、学校に入って行った。



(おもしろいわぁ あの子。)


心配せんといて、壷林さん。

はじめから、友達になろうとかそれで満足しようとか思ってへんから。


見とれよ。

壷林さん、絶対惚れさせる。

それと、河野 日奈太。

宣戦布告や 。






< 21 / 24 >

この作品をシェア

pagetop