君のぬくもりを忘れたい
そうだ 河野君は変な人だ。

汐田君と別れて、1人で歩きながら
自分が言ったことに納得する。

変だと思う理由はただ1つ。


人気者で優しい河野君が

私に気をかけてくるということ。


(どうして、私なんかに。)



氷が、太陽に勝てると思うか?
思わない。
すぐ崩れ溶けてなくなってしまう。
つまり、私は河野君に勝てない。

結果、私が辛くなるだけということ。



河野君には、関わらないほうがいいんだ。



––––––––––––––無理だろうけど。


だって、

私は私を守るための壁を作ろうとしたのに、

河野君が無意識にぶち壊してくるか、
私が作れないでいる。

どうしてなんだろう。

いつもなら、十分なくらいに高い壁をいくらでも作ってこれたのに。



…まぁでも、河野君ももうそろそろ気づくだろう。


私が、
愛情も友情も信頼も忘れた
どれだけ冷たい人間なのか。

そう気づいた時、きっと側にはいないはずだから。

いや、側にいられたら困る。


私の中の氷が、溶けきってしまうもの ー






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