羊と虎

ジョギングのついでに、美味しいと評判のパン屋でパンを買って帰って来たが、凱が眠っているかも知れないので、そっとドアを開け、小さい声で「ただいま」と言ってみる。

返事が無いので、更に物音を立てないようにそっと靴を脱いで、リビングに向うと、丁度寝室から出てきた凱に出会う。

「あはよぅ・・ございます」

「おはよう。敬語は止めてね」

苦笑する凱の顔を見て少し困る。

『上司で年上に敬語抜きって・・・難しいよ』

「僕たちは友達なんでしょ?」

首をかしげながら聞いてくる仕草が何故だか可愛く見える。

普段の凱とのギャップは、半端無い。

『しっかりしろ!友達友達!』

そう自分に言い聞かせてテーブルに、買って来た朝食を並べ始める。

「え・・と。コーヒーインスタントしか無いで・・けど大丈夫・・?」

敬語抜きの言葉に戸惑い、へんな喋り方になり、更に慌てる。
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