羊と虎

「今度の秘書さんはどうなの?やって行けそう?」

食事前の事を思い出して口にしてみたが、凱の顔が曇ったので、失敗した事に気付いた。

「前よりはマシだけど・・・色目使ってくるし、香水の匂いはキツイし・・・正直しんどい」

ため息をついて目を伏せる凱を見ていると、今度の女性秘書も合ってない事が分かる。

「自分で探すから男性秘書にしてって言えないの?」

その言葉に黙り込んでしまう。

『あぁ私が凱の変わりにお兄さんに言ってやりたい!こんな事しても凱には無駄だって』

「ごめん。言えてたら今頃男性秘書になってるよね。
まぁ、ストレスが貯まったら何時でも言って!私に出来る事があったら何でもするから!」

気分を変える為にわざとおどけた風に言ってみると、凱の顔に笑みが戻る。

「ありがと。杏奈が居てくれて本当に良かった」

『あぁ可愛いなぁ・・・いや可愛いは無いよね』

大型犬に見えて仕方が無い杏奈はニヤケル顔を懸命にバレないようにした。
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