羊と虎
ほんの僅かな間に眠ってしまった杏奈を見つけ、凱は困った顔をする。
『僕の事全く警戒してないのか』
「杏奈・・起きて。送っていくから」
肩を揺らして声を掛けると、ふにゃりと笑った杏奈が凱の首に腕を回す。
「杏奈?」
「起きたくない~」
凱の首にしがみ付き、耳元で甘えた声を出す杏奈に驚き、引き離そうとすると更に強くしがみ付いてくる。
「やだ・・眠い~」
『え、誰?別人?!』
駄々っ子のように首元で頭を振られ、凱が慌てて引き離したら、そのままパタリと倒れてカーペットの上に寝てしまった。
「杏奈? 杏奈?!」
慌てて揺さぶるが、何をされても全く目を覚まさなかった。
「ちょっと・・困るんだけど」
幸せそうに眠る杏奈を見下ろし、困り果てた顔をしていた凱だったが、大分時間が経ってから意を決して抱き上げる。
お姫様抱っこをするのは凱にとって初めてだったが、杏奈は慣れているのか抱き上げた瞬間無意識にしがみ付いて来た。