羊と虎

『可愛いなぁ・・・。はっ!何言ってんの?!』

また可愛いと思った自分に驚きながら、慌てて立ち上がる。

『私、思考回路が可笑しくなった?!・・こんな時は・・!そう、走りに行ってこよう!』

そう思って玄関に向ったが、会社帰りでは靴が無い。

玄関で途方に暮れていると、ソファがギシリと音を立てた。

音のする方を見ると、気だるそうにソファーから身を起こす凱の姿があった。

窓からの木漏れ日の中、それは映画のワンシーンのように見えてぼうっと見入ってしまった。

朝の苦手な凱にとっては、緩慢な動きなだけだが、それすらも絵になる。

暫くしてのそりと立ち上がってこちらに振り向いた。

「!?」

ボーっと凱を見て居た事がバレて恥ずかしくなった。
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