羊と虎
「もしかして・・運転したい?」
車に乗り込みエンジンをかけたが、杏奈から好奇心一杯の視線が痛く、聞いてみる。
「え!?・・・いや・・・・・・したいデス」
色々葛藤したのだろうが、好奇心に勝てず、運転したいと言った杏奈に、快く運転席を明け渡す。
「わぁ。凄い!」
運転席に座り、辺りを舐めるように見渡し興奮している杏奈。
一通り調べた後走り出すまでにゆうに10分はかかっただろう。
ゆっくりと駐車場から一般道に入り、流れるように運転する杏奈に凱も嬉しそうだった。
「やっぱり運転上手だね」
「!?」
一瞬凱の存在が頭の中から全くなくなっていた事に驚き、凱を見る。
「・・うん。家に帰っては・・父の車を乗り回して・・たし」
言葉にも動揺の色が滲んでいる。