羊と虎
『ヤバイ、完全に凱の事忘れてた』
恐る恐る凱の方を見ると杏奈の手元を眺めていた。
「地元はよく走ってるだろうけど、こっちはどうなの?」
「たまに紫苑・・・あ、長男なんだけど・・や父が食料を車で持って来た時に借りて走らせる位かな」
杏奈の住んでいるマンションの一階には、来客用の駐車場があるので、気軽に車で来る事が出来た。
「そう言えば、お兄さんが二人居るんだよね?」
「うん。長男が紫苑で31歳。次男が怜苑で28歳・・・凱と同じ年・・・だよね?」
「うん。そうだね。上のお兄さんは、うちの兄より一つ下だ」
普段色々話しているのに、兄弟の年の話をする事が無かった事に今更ながら驚いた。
「凱のお兄さんってどんな人?」
「名前は慧(けい)年は32歳ってそこは知ってるか」
ふふっと笑った。