溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
相変わらずギャーギャー言い合うふたりに、一抹の不安を抱いているとスマホが鳴った。

確認すると佐々木君からだった。

電話の相手が相手だけにドキッとなるものの、佐々木君はなにか急用がない限り、きっと私が仕事中に電話なんてしてこないはず。

それじゃもしかしてなにかあった? おばあちゃんの容体が急変したとか?

不安になり、急いで席を立って静かな廊下に出た。

「もしもし、佐々木君?」

はやる気持ちを抑えながら電話に出る。すると電話越しからは、申し訳なさそうな声が聞こえてきた。

『仕事中に電話して悪い。……今、少し大丈夫か?』

「うん、大丈夫だよ」

焦った声ではない。じゃあおばあちゃんの容体が急変したとかではない?

それでも不安を払拭できなくて、不安を持つ手が震えてしまう。

「どうしたの?」

小さく深呼吸をして尋ねた。

『あぁ、先週受けた岡本さんの検査結果が今日出たんだ。仕事が終わってからでもいい、岡本さんも交えて説明したいから、今日来られないか?』

「あ、わかったよ。今日行けると思う」
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