溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
『親や親友に話せないことも、彼にならなんでも話せるの。……きっと環奈にもそういった存在の人と出会ったらわかると思うよ。まぁ、その相手は私としては佐々木であってほしいけど』

なんでも話せる存在、か。今の私にとってその存在はおばあちゃんや砂羽だけだと思う。

でも砂羽のようにいつか私にも、どんなことでも話せる存在の相手と出会うことができるのかな。

もしかしたらその相手は佐々木君、なのだろうか。

砂羽に言われるがまま想像したけれど……だめだ、佐々木君になんでも話せる気がしない。

それはやっぱり彼は私にとって、運命の相手ではないのだろうか。

また答えの出ない無限ループに陥りそうになると、電話越しからは砂羽の陽気な声が届いた。

『とにかくあんたは、しっかり佐々木と向き合いなさい! それと家族とも。……さっきはあんなこと言ったけど、なにかあったらいつでも頼ってくれていいからね。遠慮しないで連絡して』

「うん、ありがとう」

砂羽は昔から私の良き理解者で、私のためを思って時には厳しいことも言ってくれる。それと同時にこうして優しい言葉を掛けてくれるんだ。
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