溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
だからこそ、砂羽が羨ましくなる。家を飛び出すほど喧嘩をしても、仲良くて唯一無二の存在だと言い切れる旦那さんがいて。

『まずは妹と頑張ってこい。おばあちゃんにもよろしくね』

「……うん」

近々会う約束をして電話を切った後、スマホに向かい心の中で感謝の気持ちを唱えた。

ありがとう、砂羽。なんか元気出た。

考えること、向き合わなくちゃいけないことがたくさんある。でも私には強い味方がいるって思い知らされたから。

まずは家族としっかり向き合おう。ずっと背を向けてきた問題を解決したい。

正直、家族とは思えないけれど……でも私は戸籍上、お父さんたちと家族なんだ。このままでいいわけがない。一生会わずに生きていくことなんて、できないはずだから。

「……よし!」

歩道にはたくさんの人が行き来している。その波に乗り、彩音との待ち合わせ場所である駅に向かっていると、再びスマホが鳴った。

「誰だろう」

歩を進めながら確認すると、佐々木君からメッセージが届いていた。
< 152 / 279 >

この作品をシェア

pagetop