溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
「え、佐々木君?」

再び足を止め、端に寄る。

ドキドキしながらスマホをタップすると、絵文字ひとつない文字で【岡本さんの体調はどう? 変わりない? なにかあったらいつでも連絡して。もちろんなにもなくても連絡してほしい】

「佐々木君……」

メッセージ文を読み、胸がキュンとなる。

そして砂羽の話を聞いた後だから、佐々木君のメッセージ文を読み込み、ある思いが頭をよぎった。

もしかしたら佐々木君は、私に歩み寄ろうとしてくれているのかな。私から色々な話をしてくれるのを、待ってくれている?

そう思うと、トクントクンと胸の鼓動が速くなる。

私、もっと自分に自信を持ちたい。もっと佐々木君に近づきたい。今、家族の問題から逃げすに立ち向かうことができたら、それができる気がする。

【ありがとう。おばあちゃんは変わりなく元気です。佐々木君、今度私の話を聞いてくれる?】

ドキドキしながら送った返信文。するとすぐに返信が届いた。

【もちろん。いつでも待っている】

やっぱりまた絵文字ひとつないメッセージ文だったけれど、彼の優しさを感じ頬が緩んだ。

砂羽の言う唯一無二の存在といつしか出会うことができるのなら、それは佐々木君であってほしい。そう、思ってしまった。
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