溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
「佐野が嫌じゃなかったら、このまま一緒にいたい」

彼の言葉の意味がわからないほど、子供じゃない。それに私も彼と同じ。もっと佐々木君と一緒にいたいから。

「うん、私ももっと一緒にいたい。あ、おばあちゃんに連絡しないと」

「そっか、あっ、俺も一度戻らないと。父さんに任せてきちゃったんだ」

お互い思い出し、顔を見合わせ笑ってしまった。

「すぐに終わらせるから病院の中で待ってて」

「……うん」

手を繋いで病院へと向かっていく。

キスしちゃった後なのに、ドキドキしちゃって仕方ない。けれどそれ以上に幸せで自然と頬が緩んでしまう。


結局病院に戻った後、佐々木君のお父さんに勘づかれてしまい、ふたりでずっと一緒にいることは叶わなかった。

でも大丈夫、私たちにはこの先十年以上の時間があるのだから。
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