溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
「環奈ちゃん、こっちいらっしゃい」

「あ、はーい」

母さんに呼ばれ、父さんたちの元へ駈け寄って緊張しながらも、嬉しそうに話す環奈を眺めていると、肘で身体を突かれた。

「ちょっと真太郎、環奈ちゃんいい子じゃないの。真太郎のくせによくあんな可愛くていい子をゲットできたわね」

からかってきた姉さんを軽くあしらいながら、肉を口に頬張っていく。

「さっさとプロポーズしちゃえばいいのに」

「……言われなくても、近いうちするつもりだから」

ぶっきらぼうに答えると、姉さんは背中を何度も叩いてきた。

「そっかそっか。それを聞けて安心した! 大丈夫よ、真太郎。お母さんと私でちゃんと環奈ちゃんと寝室はふたりにしてあげるからね」

ニヤニヤ笑いながら言う姉さんに恥ずかしくなるも、「頼む」と伝えるとニンマリ笑った。

「姉ちゃんに任せておきなさい! そうと決まれば、お父さんをベロンベロンに酔わせてくるわ」

そう言うと意気揚々と環奈たちの元へ向かった姉さん。

こうして見ると環奈はすっかり家族の一員だ。

きっとこの先も小さなことで不安になったり、焦ったりすることもあると思う。でも環奈とふたりなら、どんな困難も乗り越えていける気がするんだ。

そのためにも早くプロポーズしないとな。

家族と楽しそうに談笑する彼女を見て、近々10年以上に渡る想いをぶつけよう。そう心に誓った。
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