溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
足を進めながら彼の名前を呼ぶと急に足を止めた彼。私もまた足を止めると、佐々木君は尋ねてきた。

「佐野、あと少しだけ時間大丈夫?」

「う、ん別に大丈夫だけど……」

明日も仕事だけど、まだ二十時過ぎだし。

「一ヵ所、付き合ってほしいところがあるんだ。そこに行ってもいいか?」

「……うん」

どこだろう、付き合ってほしいところって。疑問に思いながらも了承すると、佐々木君は「じゃあ行こう」と言い、車へと急ぐ。

行き先を告げることなく、彼が向かった先は懐かしい私と佐々木君の母校だった。

「ここ……」

閉まっている校門前に車を停め、先に降りた彼に続いて降りたものの、茫然と学校を眺めてしまう。

「懐かしいよな」

いつの間にか私の隣に立ち、同じように学校を見上げる佐々木君の横顔を見つめる。

どうして佐々木君はここに来たんだろう。

「じゃあ行くか」

「行くって……えっ!?」

ギョッとする私を余所に、あろうことか彼は閉まっている校門を登り始めた。

「ちょっ、ちょっと佐々木君?」
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