溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
ボーッとしていた私に気づいたのか、いつの間にかふたりの言い争いは終わっていて、心配そうに私を見つめていた。

「佐野先輩、お疲れなんじゃないですか? おばあさんのことがありますし。無理しないでくださいね。なんなら少し休んできてもいいですよ?」

笠井君の優しさに頬が緩む。

普段はクールで、薫ちゃんと口喧嘩ばかりしているけれど、意外と優しくて気遣いができる良い子なんだよね。

「ありがとう、でも大丈夫だから」

安心させるように明るい声で言い、チクリと付け足した。

「ふたりがケンカしないでくれたら早く打ち合わせが終わって、少しはゆっくりできるんだけどなぁ」

チラッと見るとふたりは急にアワアワし始めた。

「そ、そうですよね! すみません! もう笠井君と喧嘩しません!!」

「すみません」

ふたりの慌てっぷりに思わず笑ってしまった。

「ありがとう、じゃあ再開させてもらうね」

「はい!」

「お願いします」

今回の打ち合わせの内容は、私たちが担当している人気コーナー。街角のイケメン特集についてだ。
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