...好き。

上手く動いてくれない足をゆっくり動かして、体を逆に向かせる。



「…あれ?君…」
私の顔を覗き込む…その人は







「………………か、な…た…く」

声にならない声の原因。



大好きな、大好きな…大好きすぎて仕方ないSTARが


今、ここにいる。



カナタ君が…ここにいる。

「STAR、おはよう。昨日は眠れたかい?」

「はい、社長! 寮まで、ありがとうございます」

「いやいや、そちらの社長と仲がいいもんでね。
君達を上京させると聞いたら すぐに引き受けちゃったよ」


ははは、と笑い合うSTARの皆とパパ。


私は、立ち上がったまま動けない。

「…菜乃花?どうしたんだい?あのSTARだよ?」


「……あの…?僕らをご存知で?」


カナタ君が私の顔を覗き込む。

知ってるなんてもんじゃない。

白い肌に二重の目。左右対称のパーツ。
175cmのちょうどいい身長に、左目の少し下にあるホクロ。


間違いない。カナタ君、だ…。


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