主任とルームシェア始めました
帰り道、今日の出来事をけいちゃんに話す。
「今日はね〜、坂野くんにいっぱい助けて
もらったんだよ。」
「坂野に?」
「うん。
哲平が隣に来ようとした時も、
『今日は俺と遥さんとの親睦会ですから』
って言って哲平を追い払ってくれたし。
今まで、あんまり話した事なかったけど、
いい子だね。
かわいい弟ができたみたい。」
「遥さん?」
けいちゃんは怪訝そうに聞く。
「あ、そうそう。
もう、佐藤さんじゃないし、でも河谷さんだと
主任みたいだから、遥さんって呼んでもいい
ですか?って言うから、いいよって
言ったの。」
「さっき、俺の前じゃ、佐藤さんだった
けどな。」
けいちゃんは、なんだか納得がいってなさそう。
「酔ってたから、旧姓で呼んじゃったん
じゃない?」
「作為を感じる。
危険なのは、大野より坂野だったか。」
「は?
坂野くんは、全然危険じゃないと思うけど。」
「はぁ…
遥は、鈍い上に、天然で男をたぶらかすから
なぁ。」
「はぁ!?
私、そんな事絶対しないし。」
けいちゃんてば、なんで私の事になるとこんなに疑い深くなっちゃうんだろ?
やっぱり心配性のけいちゃんは、帰ってすぐにけいちゃんのものだと分かる赤い印を私の体中に付けた。
私もその印の数だけ幸せを実感した。