主任とルームシェア始めました
月曜日。
私は新しく受注したシステムの詳細な仕様を打ち合わせるため、取引先に行く事になっていた。
だけど、坂野くんが、
「課長、俺も遥さんに同行しても
いいですか?」
言い出した。
「んー、悪くはないけど、どうした?」
「遥さん、昨年、あんな事件があったから、
取引先の男性と2人になって、万が一、
フラッシュバックが起きたり、精神的に問題を
抱えたりする可能性もないとは言えないと
思うんです。
俺の勉強にもなりますし、万が一の保険と
して、同行させてもらえませんか?」
それを聞いて、課長も大きく頷いた。
「あぁ、それもそうだな。
じゃあ、坂野、フォロー頼んだぞ。
河谷さん、坂野をよろしくな。」
という事で、坂野くんと2人で外出する事になった。
坂野くんは、とても人懐っこく、話も面白いので、行き帰りの電車の中も全く退屈する事なく、楽しく過ごせた。
SEって、コミュニケーション能力が著しく低い人も多いので、相手によっては移動中が地獄のような人もいるんだけど、その点、坂野くんは当たりだなと勝手に思っている。
「遥さん、会社戻る前に、ちょっとだけ、
お茶していきません?」
「えぇ? 仕事中だよ。」
「どうせ、会社に戻っても、コーヒー飲んで
まったりしてからしか、仕事しないじゃない
ですか。
だったら、おいしいコーヒー飲んで
いきましょうよ。」
「もう。坂野くんは人を乗せるのが上手い
なぁ。
じゃあ、お茶飲んでく代わりに、戻ったら
すぐに仕事だよ。」