社内恋愛狂想曲
「なんでやねん!浮気現場に乗り込んで一発どついたればええのに!」

「葉月、ちょっと落ち着いて」

「これが落ち着いていられるか!なんやったら代わりに私が橋口どついたる‼」

かなりの興奮状態だ。

私と護が付き合いだした頃から知っている分、余計に腹が立っているのかも知れない。

私も一緒になって「どついたる!」と叫びたい衝動を抑え、できるだけ冷静なふりをして葉月の握り拳に手を添える。

「いやいや……。葉月の気持ちはすっごく嬉しいんだけど、やっぱり暴力は……。それより、もっと激しく完膚なきまで叩きのめしたいんだ」

「何それ、どういうこと?」

葉月は眉間にシワを寄せて、運ばれてきた唐揚げに箸をつけた。

私も取り皿に唐揚げを乗せて、思いっきりレモンを搾る。

「3年も付き合ってきてさ、もうすぐ30だよ?たまに結婚の話も出たりするから護もそのつもりなんだろうし、そろそろかなぁってなんとなくだけど思ってたの、私は」

「まぁ、当然やな」

「それなのによりによって私の部下と浮気してるんだよ?もしこのまま何も知らないふりして付き合って、いずれ結婚したとしてもさ……あれ、絶対浮気するよね」

「するやろうな、間違いなく」


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