社内恋愛狂想曲
「そこで会ったのは偶然だとしても、奥田さんはきっと橋口先輩の彼女が佐野主任だってこと知ってるのに、あえて知らないふりして話したんだと思いますよ。友達もいない、同期に本音も話せない女が、休日に偶然会った上司に、好きな男にセフレ扱いされてるなんて話をわざわざすると思いますか?」

確かにそうだ。

そういえば奥田さんの恋愛相談は唐突に始まった。

何かモヤモヤすると思った原因はここにあったのかも知れない。

「……思わない。少なくとも私だったら、そんなこと人には言えない……」

「そうでしょう?奥田さんは橋口先輩がなかなか自分に本気にならないのにしびれを切らして、佐野主任に面と向かって橋口先輩から手を引いてくれって言ったんです。彼女は天才的にあざといんですよ」

なんてことだ。

護のことが本当に好きだから彼女がいるのをわかっていてもあきらめられないなんて目を潤ませて言っていたけど、あれもすべて計算だったのか!

なんなら、ちょっといい子なのかもって思っちゃったのに、完全に騙されてたなんて……!

瀧内くんに話さなかったら、私はきっと奥田さんを応援しながら大人しく身を引いていたと思う。

奥田さん……なんて恐ろしい子……!

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