社内恋愛狂想曲
「私にちょうどいいって……何が?」

「瀧内、いいって。佐野にそんなこと頼めないから」

三島課長は慌てて止めようとしたけれど、瀧内くんはまったく聞く耳を持たない。

「佐野主任にちょうどいいんじゃなくて、佐野主任がちょうどいいんですよ。適任というやつです」

それはいいことなのか悪いことなのかわからないけれど、瀧内くんが言うと何か後が怖いような気がする。

とんでもないことを頼まれたらどうしよう?

「まさか法に触れるようなことではないよね?」

「佐野主任は僕をなんだと思ってるんですか?いくら僕でも、さすがにそれはありません。人助けだと思って三島課長の婚約者になってください」

瀧内くんの口から発せられたミッションがあまりにも予想外過ぎて、私はしばらくその意味を理解できなかった。

三島課長は右手で顔を覆って絶句している。

「あの……そこんとこ詳しくおうかがいしても?」

「瀧内、その件はもういいよ。佐野もホントに気にしなくていいから」

三島課長はなんとか瀧内くんの発言をもみ消そうとするけれど、瀧内くんは一歩も引かない。

「もういいということは、佐野主任以外に協力してもらえるあてはあるんですね?それとも覚悟を決めたんですか?」

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