社内恋愛狂想曲
結婚生活が楽しみでしょうがないなんて言って、婚約者の彼のことを散々のろけていたのに、山村さんに一体何があったんだろう?

酒に酔わない私には経験がないけど、酒に酔った勢いで一度きりの関係を持つなんてのは、大人の男女にはよくある話だ。

妊娠したのが婚約者とか彼氏の子ならともかく、素性の知れない男との間にできた子どもを産んで育てるのは、相当の勇気がいると思う。

それなりの家柄の娘だという話だから、周囲からの好奇の目に晒されるとか、身内や近しい人からの陰口が巡りめぐって耳に入ることがあるかも知れない。

どんなに愛情を注いで育てても、子どもが物心ついたら自分の出生に疑問を抱いたり、父親に会わせてくれと言う可能性もある。

……その辺の覚悟はできてるのかな。

だったら我が身の保身のために子どもを産まないと言うと、それはそれで無責任だとか、子どもの命をなんだと思ってるんだと責められるのは、結局山村さんだ。

そして周囲から責められることよりつらいのは、あるはずだった子どもの未来を摘み取ったという重い罪を一生背負うことだと思う。

そう考えると、しっかりした後ろ楯もあることだし、父親が誰であれ、産んで育てようと本人が決心して良かったのかも知れない。

何を言ったって、この問題は私たちにはどうしようもない。

新人ちゃんのまさかの妊娠退職には驚いたけど、無事に元気な子を産んで、頑張って育ててくれることを祈るばかりだ。



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