社内恋愛狂想曲
照れ屋で恥ずかしがりの葉月は、伊藤くんのことが好きで好きでたまらないのに、その気持ちを素直に言葉にできなかったらしい。

伊藤くんは葉月に信じて欲しくて、好きなのは葉月だけだから絶対に浮気はしないと、いつも言葉と態度で伝えていたけど、葉月の不安は取り除けなかったそうだ。

例のスマホ水没事件の後で葉月に会いに行ったとき、葉月の部屋のインターホンのボタンを押すと、葉月ではなく背の高い関西弁の男の人が出て来たと言った。

「そいつが玄関先で、葉月は今、人前に出られる状態じゃないって言ったんだよ。奥から葉月がそいつを呼んで何か話してたんだけど、“要らんから帰ってもらって”って言うのが聞こえて……。ああ、俺ついに葉月にとって本当に必要なくなったんだなって、目の前真っ暗になった」

伊藤くんの話を聞いていると、店の入り口の方から瀧内くんが誰かを連れて歩いてくるのが見えた。

ここだと合図をしなくても瀧内くんがすぐ私に気付いたので、私は伊藤くんの話の腰を折らないよう、黙って聞いていた。

「伊藤くんは葉月が男の人といちゃついてたって言ったけど、それこそ現場を見てないよね?」

「現場は見てないけど顔も出さなかったし、男の方も上半身裸だったから……人前に出られないってのは、服着てないとかそういう意味だったのかなって思ってさ」

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