社内恋愛狂想曲
「僕もですか?」

「もちろんだ。日頃世話になってる先輩たちの頼みなんだから少しくらい協力してやれよ。別に減るもんでもないしいいだろ?」

三島課長に優しく諭された瀧内くんは、しぶしぶといった感じでうなずいた。

「……わかりました。少しだけでしたら」

クールでドライな瀧内くんでも、上司の三島課長には「イヤです」とは言えないらしい。

「ごめんね、瀧内くん。答えたくないことは無理に答えなくてもいいからね」

少し気の毒だったかなと思って私が両手をあわせて謝ると、瀧内くんは小さくため息をついた。

「はぁ……わかりました」

もしかしたら本心なんて語ってくれないかも知れないけれど、私より護と歳の近い瀧内くんの意見は貴重だ。

何かいい方向に繋がるヒントになればいいなと思う。

質問の内容が内容だから、景気付けにジョッキに残っていたビールを一気に飲み干した。

すかさず葉月が店員を呼び止め、おかわりを注文してくれる。

「あのー、それで早速お尋ねしますけど……浮気したこと、ありますか?」

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