社内恋愛狂想曲
正面から鉢合わせはしていないけれど、葉月はすぐ近くにいた茂森さんにまったく気付く様子もなく、ひたすら伊藤くんに向かってニコニコしていたらしい。

その後伊藤くんが転勤して間もない頃、例の友達との集まりで飲みすぎた葉月は、茂森さんに伊藤くんのことを話したそうだけれど、葉月自身はそれをまったく覚えていないと言った。

それから例の門前払い事件のときには、茂森さんは意図的に伊藤くんに誤解を与えるつもりで服を脱いだのだそうだ。

しかし葉月が伊藤くんと別れたようだと気付いたときは嬉しかったけれど、あまりにも葉月が落ち込んでいたのを見て罪悪感を抱き、その原因を自分が作ったことを葉月に秘密にしていたのは後ろめたかったと言って謝ったらしい。

生涯を共にする相手にはなれなかったけど、葉月が大切な幼なじみであることは、これからも変わらないと茂森さんは言ってくれたと言って、葉月は穏やかな顔で笑った。

そして肝心の伊藤くんとは、二人で落ち着いて話し合った結果、もう一度改めて付き合うことにしたそうだ。

今後のことは、これから二人でゆっくり考えるとも言っていた。

勢いに任せて買ったブライダル雑誌とピンクの婚姻届が役に立つ日も、そう遠くないかも知れない。



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